Izu Pen English(現Izu Pen Global Communication Labs)は伊豆半島に特化した英語学習ブログを目指していますが、最近人工知能の研究をされている方の英語コーチングを始めたので、興味深かった点を共有させていただきます。
日本語の会話でAさんとBさんの会話が盛り上がっているときによく使う言葉として「ちなみに」という言葉があります。普段の日本語の会話の中でも良く使いますね。では、英語ではなんというのでしょうか?
実はこの方との会話の中では6個出てきました。
「ちなみに」の英訳:
- By the way…
- I don’t mean to butt in, but…
- Well, to add onto that ….
- I don’t mean to go off the topic….
- Going back to what you said earlier…
- If you don’t mind me asking….
え?6個もあるの?
そうです。今回思いついただけで、6個ありました。もうちょっと頭をひねったらまたもうちょっと出てくるかもしれません。では、何故6個あるのでしょうか? 理由は使われる「コンテクスト」の違いにあります。 ちなみに、「6個も知りたくなーい」という人は最後まで読み飛ばしてください。
日本語の「ちなみに」は6個ぐらいのコンテクストで使われている、よって英訳は6個。
つまり、日本語の会話の中で「ちなみに」が使われるときは、私と今回コーチ依頼をしてくれたSさんの間の6個ぐらいパターンがあります。そして、逆に英語話者の人はこの6個をあたかも日本語の「ちなみに」に相当するような使い方をしている、ということになります。そして実際は違うかもしれません。
では、それぞれがどういう「コンテクスト」で使われているか見てみましょう。コンテクストは()で囲っています。
- By the way… ちなみに、 ※これが一番直訳に近いです。
- I don’t mean to butt in, but… ちなみに(別に上げ足をとるわけではないのですが、、、)
- Well, to add onto that …. ちなみに(それにちなんでこんな話もありますよ、、、)
- I don’t mean to go off the topic…. ちなみに(話をそらすつもりではないんですが、
- Going back to what you said earlier… ちなみに(さっき言ってたことについてなんだけど、、、)
- If you don’t mind me asking…. ちなみに(つなぬことをお伺いしますが、、、)
実際に発している「ことば」の奥にある「(本当の)意図」や「含み」。
前に読んだことがあるのですが、人が発する「ことば」というものは多かれ少なかれ、実際に言ったことば以外の「意図」や「含み」が隠されていると言います。例えば、有名な例として、「窓が空いているんだけど…」という例を取れば、実はそのセリフの含みまたは意図は「(寒いから閉めてくれない?)」だったり「(そこまで行くの面倒くさいから、代わりに閉めてくれない?さんきゅ~)」のようなものだったりします。
つまり、最近では日本語でも「ちなみに」を使うときに様々なコンテクストが存在するのではないかとということです。しかし、一部は元々日本語で使われていないコンテクストのものもあるのではないかと思います。
- By the way… ちなみに、 ※これが一番直訳に近いです。
- I don’t mean to butt in, but… ちなみに(別に上げ足をとるわけではないのですが、、、)
- Well, to add onto that …. ちなみに(それにちなんでこんな話もありますよ、、、)
- I don’t mean to go off the topic…. ちなみに(話をそらすつもりではないんですが、
- Going back to what you said earlier… ちなみに(さっき言ってたことについてなんだけど、、、)
- If you don’t mind me asking…. ちなみに(つなぬことをお伺いしますが、、、)
個人的な意見かもしれませんが、日本語で一番多く使われるのは上記緑の文字で記されていただいた「By the way」と「If you don’t mind me asking…」だと思います。これは相手を重んじる文化です。そして紫の文字の4つのコンテクストについては実は後から日本語に入ってきたのではないかと、思います。これは議論などをするときに会話の流れを変えるための話術です。しかし、最近では日本語の会話の中でも後者はとても多くなってきたようにも感じます。
意外なことかもしれませんが、私は実は「日本語はしらない間に英文法に影響を受けて変わっている」説があります。略して「日本語英語化現象」です。こちらについてはまた別途書きたいとも思いますが、つまり知らぬ間に元々使っていた使い方以外に特に現代人は、ことばの意味の解釈を拡大させてしまっているということです。
日本語で「ちなみに」という言葉は、「因む」から来ています。 ちなみに、Weblioを見ると、用法としては「関連していること」を「付け加える」ことが一番正しいとも思います。 そして、実は「ちなみに」を話の「転換」に用いることは誤用のようです。
ちなみにとは – Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ) Weblio辞書https://www.weblio.jp/content/%E3%81%A1%E3%81%AA%E3%81%BF%E3%81%AB)
「ちなみに、、」ではななく「因む(ちなむ)」の例を見ていけば、実は「xxxに因み付けた名前」や「クリスマスにちなんだ話」などがでてきますから、常用されている「ちなみに、、、」という使い方自体も変わっているのでしょう。。。今ではどちらかというと、「関連」や「付け加え」よりも、「転換」の用途で使われることの方が多いと思います。ということは日本語の「ちなみに」の使われる状況やそれが表そうとしている意味が拡大したため、訳も6通り(少なくとも)に増えたのでしょう。
そして、注意点として一応ですが、書いておきたいのは、上の紫の文字の4つのコンテクストで英語話者の人が「ちなんで」来たら要注意です(笑) 日本人とは大違い、結構話を逸らしたり、トピックをそのまま強引に変えちゃったりする人もいます。これは日本人的にはNGにも感じるかもしれませんが、他の国ではある意味”流儀”になっている場合もあります。そういう人との会話に出くわした場合には、「英語の勉強だ!」と思って、必死食らいついてください。(笑)
結論: 「ちなみに」 = 概ね「by the way」、「if you don’t mind me asking」
今回も投稿のはじめの方からスクロールした人はここまで読めば大丈夫です。(笑) [ココデオワリ]
現代の日本語でも多く使われる「ちなみに、、、」ですが、対訳として以下の2つが一番良く使われていると思われます。
- By the way… ちなみに、(ところで、、)
- If you don’t mind me asking…. ちなみに(つなぬことをお伺いしますが、、、)
というわけで、現在の日本語の「ちなみに」は別に「因む(関連付ける)」わけではなくて誤用とされている「転換」のためのフレーズとして使われていることが多いと思います。。。うーむ、なるほど。こうすると辞書的には”誤用”だけど、しょうがないよね?
+αの考察:実は日本語の「ちなみに」の意味(使われ方)が変わってしまった?
そうなんです。なので、「ちなみに」はもうすでに「因む(関連付け、由来、付け加える)」ではなく、「ちなみに」=「by the way化」してしまった、というのが、現状です。だから、昔ながらの「辞書」を調べても、全然違う意味がでてきちゃいます。間違ってもこどもに「ちゃんと、国語辞書調べなさい!」とか言っちゃあだめです。だって、辞書が言っていることと、普段の人が使っている意味が全然違うんですから。 特にこの言葉の使われ方の変化は15-20年くらいに変化をしたと思っています。 そうなんです。言葉っていうのは、意味が変わるんです。大体最近では20年未満のサイクルにまで到達してきた、そんな気もします。
またそれに関係しているかわかりませんが、この5年くらい以前より耳にすることが多くなった言葉があります。。
- on a side note… (それにちなんだことを付け加えると)
- that being said (というわけで、ちなみに、、、)
よく見てみるとこの二つは関連づけて話しているから、以前までの日本語の「ちなみに」の使い方に似ています。。。ということは実は西洋社会の英語が「日本語化している」? 私、実は、多いその可能性もあると思っています。今回は長くなってしまいますが、ご興味ある方はこの辺はまた追々紹介させていただければと思います。
要点だけのまとめ
少し、取り留めなくなってしまいましたが、またちらの文章については見直しができればと思います。ポイントは
- 「ちなみに」はおおむね ”By the way” “If you don’t mind me asking”という「転換」のために使う。
- しかし、日本語的には「ちなみに」はもともと関連したことを付け加えるために使っていた。今でもこのような用途で使うことがあるが、圧倒的に「転換」の用途が多い。
- 「転換」ではなく、「関連したこと」を「付け加える」ための表現としては「I don’t mean to butt in, but… ちなみに(別に上げ足をとるわけではないのですが、、、)」「Well, to add onto that …. ちなみに(それにちなんでこんな話もありますよ、、、)」「I don’t mean to go off the topic…. ちなみに(話をそらすつもりではないんですが、」「Going back to what you said earlier… ちなみに(さっき言ってたことについてなんだけど、、、)」などがあるが、英語話者がこれらを使うときは議論を有利に持ち運ぶために、議題や内容を大幅にずらしてしまうことがあるある意味「スーパー転換」
- ここ近年(5-10年くらい)では、日本語の「ちなむ」に近い「on a side note…」や「that being said…」という表現が人気が出てきたという印象。
- とりあえず、現在は日本語の「ちなみに」ということばは話題の転換のために使われ、近しい英語訳は”by the way” “if you don’t mind me asking”の2つのフレーズとなる。
ろ